大阪地方裁判所 昭和61年(わ)2606号 判決
本店所在地
大阪市浪速区元町一丁目一〇番一八号
吉川商事株式会社
(右代表者代表取締役吉川國一)
本籍
大阪市北区菅栄町八三番地
住居
同市阿倍野区西田辺町二丁目二番二六号
会社役員
吉川國一
昭和二年一〇月二五日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官城祐一郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
1 被告人吉川商事株式会社を罰金四五〇〇万円に処する。
2 被告人吉川國一を懲役一年六月に処する。
この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
3 訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人吉川商事株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪市浪速区元町一丁目一〇番一八号に本店を置き、遊技機械の販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円(昭和五七年一一月五日以前は三〇〇万円)の株式会社であり、被告人吉川國一(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一 被告会社の昭和五五年一〇月一日から同五六年九月三〇日までの事業年度における所得金額が一億一四八四万七〇五七円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、架空の仕入れ及び外注費を計上するなどの行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五六年一一月三〇日大阪市浪速区難波中三丁目一三番九号所在の所轄浪速税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四六〇万四四四一円でこれに対する法人税額が一三六万六一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四七二六万〇七〇〇円と右申告税額との差額四五八九万四六〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れ
第二 被告会社の同五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度における所得金額が一億一〇八九万七六一〇円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五七年一一月三〇日前記浪速税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三〇二七万五五一二円でこれに対する法人税額が一〇九〇万四二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四四六九万六三〇〇円と右申告税額との差額三三七九万二一〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れ
第三 被告会社の同五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における所得金額が一億五五四五万七四九四円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五八年一一月二九日前記浪速税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二一一九万一五二二円でこれに対する法人税額が七八六万五一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額六四二五万六八〇〇円と右申告税額との差額五六三九万一七〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れ
第四 被告会社の昭和五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における所得金額が一億三〇九一万九七二三円(別紙(四)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五九年一一月三〇日前記浪速税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二四八六万二六〇〇円でこれに対する法人税額が九六六万五四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額五五五八万八一〇〇円と右申告税額との差額四五九二万二七〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実について
一 被告会社代表者兼被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書二通(証拠等関係カード検察官請求番号58、59)
一 被告人に対する収税官吏の質問てん末書一一通(前記番号47ないし57)
一 溝口義忠の検察官に対する供述調書二通(前記番号43、44)
一 七野偉平の検察官に対する供述調書(前記番号45)
一 収税官吏作成の査察官調査書三〇通(前記番号10ないし38、40)
一 法人登記薄謄本(前記番号9)
一 浪速税務署長作成の青色申告承認の取消に関する証明書(前記番号60)
判示第二ないし第四の各事実について
一 北村俊光の検察官に対する供述調書二通(前記番号41、42)
判示第一の事実について
一 浪速税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号5)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号1)
判示第二の事実について
一 浪速税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号6)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号2)
判示第三の事実について
一 浪速税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号7)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号3)
判示第四の事実について
一 浪速税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号8)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号4)
一 収税官吏作成の査察官調査書(前記番号39)
(法令の適用)
一 罰条
1 被告会社
判示各所為につき法人税法一五九条一、二項、一六四条一項
2 被告人
判示各所為につき法人税法一五九条一項
二 刑種の選択
被告人につきいずれも懲役刑選択
三 併合罪の処理
1 被告会社
刑法四五条前段、四八条二項
2 被告人
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)
四 刑の執行猶予
被告人につき刑法二五条一項
五 訴訟費用の負担
被告人両名につき刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 松本信弘)
別紙(一) 修正損益計算書
自 昭和55年10月1日
至 昭和56年9月30日
〈省略〉
別紙(二) 修正損益計算書
自 昭和56年10月1日
至 昭和57年9月30日
〈省略〉
別紙(三) 修正損益計算書
自 昭和57年10月1日
至 昭和58年9月30日
〈省略〉
別紙(四) 修正損益計算書
自 昭和58年10月1日
至 昭和59年9月30日
〈省略〉
別紙(五) 税額計算書
〈省略〉
別紙(六) 税額計算書
〈省略〉